古典臨書研究をベースとして、現代書への展開。漢字、仮名、詩文書、少字・墨象等多彩な書の勉強が可能です。学生部もあります。

▼ 年間カレンダーを表示

 | 

2021.1月課題

書譜 「思即老而」


「思」一画目収筆は、鋒先を立ち上げてから離筆する。これ書法の要。二画目→三画目横画→四画目縱画→五画目横画まで俯仰の連続。
「即」一画目の収筆が凹んでいるのは鋒先を立ち上げ二画目に移る時に鋒先を立て直しているからで、これは王羲之の十七帖に見られる「断筆」と同じ現象。孫過庭の羲之への傾倒ぶりがわかる(1月号1頁に詳しく解説)。
「老」前字の収筆の余韻を意識しながら起筆する。俯仰、節筆(1月号1頁参照)の見せ場の字。鋒先は開いたら次の転折(折り返し、曲がり角)では必ず閉じる。これも行草の奥義。
「老」も「而」も一字の中に太細の変化がある。書線の美しさは筆鋒の開閉から生まれる。落款は同じ筆で書くこと。落款も作品の一部。落款も審査の対象。

筆…西川さんの白雪、紙は翠柳の書斎にあったもの。少し黄ばんでいるから古紙だと思います。尾形澄神

高貞碑の用筆

「天」私は起筆を、蔵鋒を用いながら鋭角に運筆する。左ハライから右ハライに移る時、筆管を左に倒して「俯」の状態にする。これテクニック。用筆に長けている人は皆さん当たり前のようにやる基本的技法。高貞碑は①起筆は割りと鋭角だが収筆は軽く止めて離筆する場面が多い。②送筆がのびやか。③右ハライの「ハライ」の部分が長い。この三点の用筆は鄭羲下碑と似ている。このことは1月号に書いた。
「下」縱画収筆は鋒先を立ち上げながら離筆する。これ懸針(けんしん)という用筆法。落款は高貞碑の筆意を生かしつつ行草で書いた。こういう創意が創作の道を切り拓くのです。

筆と紙は書譜臨書と同じもの。白雪はとても使いやすい。

 |